『陰』の時代をどのように生きるか・・易経より学ぶもの

夜があるから昼があり、不在があるから存在があり、静があるから動があります。また、陰陽は循環するだけでなく、天から雨や日差しが大地に降り注ぎ、人間や動植物を育むように、混ざり合うことで新たなものを生む進化をします。人も、正と邪の内面の葛藤があってこそ、精神的成長をするものです。 人間誰しも思い出したくないような嫌な出来事があったりしますね。『易経』とは、その嫌な思い出を別の面から見直すことができるのです。それによって起きたことが裏付けされ、意味のある出来事だったのだと気づかされます。嫌な過去も生き直すことができるのです。また、時間は元に戻りませんから、起きた事実は変えられません。それに1年に春夏秋冬があるように、いくら学んでも、困ったことや怖いことは起こります。ただ、冬には冬にぴったりの解決策があるように、そこにはすべてのことに対する対処の知恵がかかれていますから、そういう意味では怖いことがなくなります。“不遇な冬の時代は、避けるべきものではなく、春を迎えるための準備期間”なのです。状況に応じて自然であれ「天雷无妄(てんらいむぼう)」天災の時を教える話があります。「天雷无妄」という陰の状況で大切なことは状況の変化に応じて作為なく自然に合わせて、ありのままに生きることです。新型コロナウィルスの影響から、社会の変化に不安の大きい時でもあります。陰の時代に必要な力とは、みんなの力を結集して、一人ひとりの自立心と自律心、自分と違う考え方を認め共に生き、共に育つことが、一番力を発揮します。コロナ禍での痛手も、陰と陽は一体ですから、少しずつ時間をかけて回復していきます。まずは謙虚に受け容れれば、前に進む勇気がわいてくるのです。